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【取材記事】移住者も地域の人も、友達のようにおたがいさま

主催:石田香楠子
応援市民:ー

今回は、東京から富山県に移住していらっしゃった石田香楠子さんにお話を伺いました。石田さんは、現在、南砺市南蟹谷の湯谷地区にある古民家をリノベーションし、自宅として住みながら、人が集まる居場所づくりも目指していらっしゃいます。「よそ者」だからこそ持てる目線や、地域で人に協力してもらって感じたことについてお聞きしてきました。

<プロフィール>

石田香楠子

東京都出身。都内の美術大学卒業後、石彫を中心に創作活動を行う。2017年に南砺市へ移住。現在は、南砺市の地域おこし協力隊として、南砺への移住に興味がある方に対しての案内や、空き家を活用したい持ち主と空き家に住みたい人を両方からサポートする仕事を担当。


「よそ者」の持てる目線を生かして地域に関わる

―――南砺市に住んでみていかがですか?印象を教えてください。

一番最初なんでこっちに来たいと思ったかと言うと、自然に近い暮らしができるかな、と思ったんです。あと、人が温かいから。受け入れてくれる雰囲気を感じて、南砺市に移住を決意しました

―――逆に、ここはちょっと困るなというところはありますか?

芸術や文化については、東京に住んでいた頃と比べると情報の入ってくるスピードは遅いというのは感じます。ただ、たまに東京や金沢に行って、色々吸収して帰ってくると「じゃあ、ここで自分は何ができるのかな」と考えられるので、逆に新しいことをやれる土壌がまだあると思ってます。

―――古民家のリノベーションを始められたのは、その「新しいこと」のひとつですか?

そうですね。休みたくっても休み方がわからないっていう人が、富山には多いんじゃないかなと思っています。そういう人が休める環境づくりができたらなと思います。そういう風に地域について、よそ者目線で見た時にまだ気づいてないところを深堀りできるんじゃないかなと考えています。

気兼ねなく、おたがいさまの関係が大切


リノベーションを手伝う応援市民の大学生

―――古民家リノベーションは、ボランティアの方にも協力いただいたんですよね。

2018年の冬に行った時は、11名の方が参加してくださいました。片付けをお手伝いなどをしてもらって、そのあとには、この古民家をどんな風に活用できるかのアイデア出しもしました。色んな人の意見を聞いて、居心地のいい場所づくりについて、みんなで考える機会があればいいな、と思ったのがきっかけです

―――どんなアイデアが集まりましたか?

その場所に来たら、時間を考えずに画集を見たり、自分の時間が持てる居場所づくりができたらいいよね、と考えていたんです。そこから、携帯電話を箱のボックスに入れて見えないようにする、というアイデアをもらったのは面白かったです。

―――今の時代、スマホと離れる時間のほうが珍しいですもんね。確かに休めそうです。

他にも、ハンモックを吊るすとか、自分ひとりじゃ全然思いつかないアイデアを聞いて、こういう考え方もあるんだ、と思えました。色々なアイデアをもらったところから、また自分の中でもアイデアが湧いてきて、こういったきっかけの場がなければ閃かなかったな、と思いますね。


応援市民との古民家活用のアイデア出しワークショップ

―――そのような経験を経て、地域の人から協力してもらうときのコツって何かありますか?

結局、「おたがいさま」なんですよ。だから、あまり気兼ねしなくて大丈夫。「これをやってください!」というよりも「一緒になんかやろうよ!」という方が意外と協力してくれることが多いです。

―――参加者側と受け入れる側というように、関係性を分けきらないという感じですか?

友達をつくる感じで来てもらったらいいのかな。そんな関係を築けた方が、その後も誘いやすいと思います。「ちょっと時間あったら手伝ってくれない?代わりにご飯はたくさん用意する!」みたいな(笑)。

―――確かにそういう関係の人がいる場所は、気軽に行ける場所になる気がしますね!

受け入れ側として、協力したい!という方に来てもらために肩肘張った態勢で対応して、お互いに「あれ?こんなはずじゃなかったのに・・・。」とか「なんか思っていたほどの成果がなかったから、辞めちゃおうか。」というのは残念ですよね。完璧にしようとしていても、そこちょっと抜けてるよっていうところが、人間なら絶対出てくると思うんです。その時に「ああ、助かった、ありがとう」と言える地域がいいなと思います。


移住者側だったところから、地域に人を招く側になっている松井さんが話す「おたがいさま」「気兼ねなく」という言葉の説得力をとても感じました。その感覚で協力し合えれば、地域外の人も地域に踏み込みやすく、地域の人も気軽に手伝ってほしいことを伝えやすい。両方の立場から心地よい協力の関係を築いていけそうです。