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【取材記事】パズルを組み合わせて出来た「複数」というスタイル

主催:ー
応援市民:モリマツコウスケ

今回は、富山県南砺市福光地域出身のモリマツコウスケさんにお話を伺いました。東京でお仕事されながら、地元の南砺に関わりを持ち始めたモリマツさん。複数の軸があるという今のモリマツさんの生活スタイルについて教えていただきました。

<プロフィール>
モリマツコウスケ
1982年、富山県南砺市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学卒業後、コーラスグループのメンバーとしてメジャーデビュー。2014年にbignose inc.を設立し、2016年には表参道にアートギャラリー「NOSE art garage」を開設。毎日に「新しいスタンダード」を発明するために、多種多様な分野で才能を発揮している。

仕事に複数の軸を持つこと

―――モリマツさんは18歳まで富山に住んでいらっしゃったんですよね。

そうです。富山県南砺市の福光地域で生まれ育ち、18歳で大学進学とともに上京しました。30代の半ばまでは歌手をしていて、今はアートギャラリーを運営する仕事をしています。

―――アートギャラリーを運営って、具体的にはどんなお仕事なんですか?

アートギャラリーというと、皆さん思い浮かべられるのは「画廊」だと思います。もちろんアーティストさんの個展や作品展も行うんですが、アーティストと一緒に色んなコンテンツを制作していきたいと思っています。ギャラリーで生まれたアイデアを、もっと外へ転用できるようにしたり、拡張性のあるイベントをつくったり。ギャラリーを使って、ボイストレーニングのスクールを開いたりもしています。

―――色んな芸術が集まる場なんですね。

音楽の仕事をずっとしていたので、ミュージシャンの子との関わりは多いんですけど、今は絵を描く子、役者さん、動画や写真のクリエイターさんなど、様々な方法で表現をしている方々と一緒にお仕事してますね。

―――元々歌手をしていたところから、今のお仕事になっていったのはなぜですか?

18歳で上京してきた時は、歌を歌いたい!と思って出てきて、漠然としたそこへの思いや勢いで走ってこられたけど、自分も年齢を重ねて、結婚したり、子供ができたりしたことで、もっと芸術でタフに生きていかないといけないなと感じるようになりました。僕の話で言えば、芸術家として仕事して生活したいと思うと、事業の売上を考えて活動しなくてはならない。けど一方で、矛盾するんですが、現実に寄りすぎて夢を追いかけなくなってしまうと、創造性の部分で欠けるものがあると感じます。色んな事業軸を持っていれば、現実に寄る部分、夢を追う部分、と分けていけるのかな、と思っています。歌手というプレイヤー一本、となるとどちらかに合わせていかないといけない側面もあると思うので、今のスタイルが自分では気に入っています。

東京・宮崎・南砺の3拠点生活

―――モリマツさんは今、拠点も複数お持ちと聞きました。

東京に仕事場のアートギャラリー、富山に実家、ここ半年くらいは宮崎の青島に家族で住んでみています。

―――宮崎!なぜ宮崎に住むことになったんでしょうか?

歌手時代、全国各地を回っていたときに、宮崎持つ雰囲気に強く惹かれたんですよね。その後、家族旅行をするときにも宮崎を選ぶようになっていきました。ちょうど東京の家の更新のタイミングで、他の地域も見てみようと思い、チャレンジしました。

―――生まれ育った場所ではないところへの移住、ということですね。

たとえ東京に今は住んでいたとしても、生まれ育った場所であれば、帰ってくると地元の人として迎えてもらえるんです。けど、そうでなく移住すると、本当の意味で地域に馴染んでいくことのハードルの高さはあるな、と感じていました。今宮崎では、自分が実際に移住者の立場になっているんですが、学ぶところは非常に多いです。生まれ育ったわけではないけど好きな街で、自分にできる地域への貢献はなにかと考えることで、自分の地元の富山でできることの本質がわかってくるかな、と思っています。

―――地元である富山でもなにか活動をなさっているんですか?

2018年に「mixape festival in NANTO」というイベントを開催しました。自分が故郷に関わりたいなと思い始めた時期に、ちょうど南砺市のクリエイタープラザができたんです。そこで自分から地元の方に話しかけて、色んな話をしていく中で、自分のやりたいアートフェスティバルを形にしていくことができました。その後も「をかしなfestival」と名を変えて続けています。

―――また地元に関わるようになって地元の見え方は変わりましたか?

最初はやっぱり東京が先端を行っていいて芸術的な力があるだと、盲目的に思っていましたが、南砺地域というのは、ものすごく芸術家の方が多い地域だなと思いました。生まれた場所だからわからなかった、創作に対するクオリティーの高さが、外に出てみて、戻ってきて客観視して感じています。

―――3拠点それぞれにご自身にとっての意味合いがあるんですね。

自分の芸術の領域の仕事は、正直まだ地方できっちり売上を出し続けるというのが難しいので、東京の仕事で出した売上を地方にどう運べるか、ということも考えています。仕事をする場所、生まれ育った場所、サードプレイスのような自分の好きな場所、どれかを選ぶのではなく、パズルのように組み合わせて、バランス感覚よく行き来できる状況を考えながら自分の人生を乗せていけると、それぞれの人にとって良いライフスタイルをつくっていけるんじゃないかな、と思っています。


モリマツさんの持つ複数の事業軸と複数の拠点、それぞれが重なる部分も垣間見えて、これがパズルを組み合わせてできたモリマツさんのライフスタイルなんだと感じました。都会or田舎という選択を自分に迫ったり、移住という言葉に囚われすぎず、自分にとってのバランスを考えることに時間をかければ、満足度も高く、充実した自分と地域の関わり方を見つけていけるのかもしれません。